記者コラム 「多事奏論」 大阪編集局記者・河合真美江
大きく背伸びしたかと思うと縮み、また伸びてゆらゆらする。ふふふっと笑うようでもある。と、ジジジと燃える音がする。和ろうそくの炎は勢いよく踊る。
お供えにと友だちからもらい、初めて火をつけた時、力強い炎にとにかく驚いた。時間を忘れ、見入った。この炎はどうして生まれるのか。
和ろうそくのもとは植物。ハゼノキの実から作る木蠟(もくろう)を、トウシンソウの髄や和紙で作った芯に塗り重ねるんだ。1本1本仕上げているんだよ。石油系のパラフィンの洋ろうそくと違う。江戸時代に生産が伸びて、暮らしの灯(あか)りになり、お寺や家の仏壇で使われてきた。今は大量生産できる洋ろうそくやLEDに押されているけど。
訪ね歩いた和ろうそくの店々でそんな話を聞いた。兵庫県西宮市、滋賀県高島市、愛知県岡崎市、石川県七尾市、山形県鶴岡市……。20軒ほどが今もがんばる。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル